
「最近きれいになったな、美穂」
夫がたまにそんなことを言います。
「目がきらきらしているし、肌が赤らんでる」
「うふっ! 赤ちゃんかしら、私」
そう言ってはぐらかし背中を向けますが、そんな褒め言葉を口にする夜はたいてい夫の性欲がピークに達していて、抱きつかれて胸を揉まれ、むりやり上を向かされて唇を奪われます。私はしかたなくその求めに応じます。でも夫は中折れ。ひとり身勝手な最後を迎えて何も言わずに寝てしまうのです。
夜のお勤めとはよく言ったもので、夫とのセックスは形だけで女の歓びなんて少しも得られません。でもそれでいいのです。私の性欲を満たしてくれる男性は他にいますから。
出会い系サイトで知り合った五歳年下の彼は同じ長野市の男性。不倫関係になってもう半年強。週に一度はこっそりデートしてセックスしています。
当初は不倫なんて発想はなかったのですが、夫のムードのない身勝手な求愛と、さかんに求めてくる割には勃起力と持続力を欠いた物足りないセックスに我慢できずに出会い系に登録したのです。二、三回遊んだらきっぱりやめよう。そういう初心もどこへやら、ずるずると半年が経ちました。
「純ちゃん(彼の名前)、私とどうなりたい?」
ある日のセックスのあと聞いてみました。
「そうですね。行くところまで行きましょうか」
なんて曖昧な答。行くところまでってどういう意味でしょう。
「何度も言うようだけど、私は離婚する気ないからね」
「わかってますよ。僕の仕事は美穂さんのストレスと欲求不満を解消させることですから。美穂さんと結婚したいなんて思っていませんよ。それに結婚するんならもっと若い子がいいですね」(笑)
少しショックな発言ですが、結婚を迫られるよりいいです。夫とは別れるつもりはありません。セックスはだめですが高収入で健康。一生楽に暮らすには今の夫がパートナーでないとだめなのです。
私にとって結婚生活とセックスは別物なのです。ある意味、夫と仲良く生きていくには、家の外でセックスする必要があるのです。セックスは家の中に持ち込みません。笑。
こういう考え方を持っている既婚アラフォー女性ってけっこう多いと思いますよ。
これを読まれている既婚男性の方、貴方の奥様は大丈夫ですか?