
出会い系で婚活できるか。
この問いにはっきり答えたい。十分婚活できる。むしろ世間一般的に行われているいわゆる婚活パーティーとかお見合いパーティーよりも、出会い系の方が素敵な出会いができる可能性が高い。
俺も最初は一定額の料金を支払ってその手の結婚相談所に登録した。アドバイザーと何度か面接したこともある。
「正直言って、どんな女性が自分の理想なのかわからないのですが」
「私どもの女性会員数は業界でも多いほうでございます。きっと理想の相手が見つかると思います。お客様はW大学を出られて証券関係にお勤めですから、こんな女性は如何ですか? ええと、N女子大を出てアパレルにお勤めの女性ですね」
写真を見せる。頭の切れそうな美人が登場する。
そのクライアントの学歴、勤務先、年収に応じて理想のマッチングを実現するのがその結婚相談所の強みのようだ。俺が二十八歳なので、二十六歳~二十八歳の年齢層をターゲットに、相手にふさわしい女性をコンピュータで瞬時に検索する。
機械的で味気ない。その後G大の英文科を出て高校教師をしている女性とお見合いしたが、仕事の打ち合わせをしているようで、男女の出会いの場だという雰囲気がない。ドキドキもワクワクもない。
他に方法はないのか。
佐賀市内でネットのオフ会に出たこともある。趣味が同じであるし、その意味で気が合う女性が多いが、彼女たちは必ずしも結婚を望んでいるわけではなく、真面目に惚れ込んでプロポーズしても引いてしまうだろう。オフ会の婚活は現実的ではない。
登録してすぐ、フリーターをしている二十四歳の独身女性と出会った。無邪気で素直な女性であることが写真からわかり、すぐに惹かれた。
「寂しいから誰かに一緒にいてほしいの。一緒にいてくれるだけでいい」
掲示板にそんなことを書いていた。
会ってみると、最初の印象通りの女性だった。そばにいるだけでほっとする女性。心の透き間を埋めてくれる女性。疲弊した心を癒してくれる女性。
すぐに仲良くなり、男女の関係になった。
「セフレでもいいわ・・・ずっと会ってくれたら」
「セフレ? 僕にはそんな気はないよ。できれば嫁さんになって欲しい」
「今なんて言った? もう一度言って」
毛布をはいで俺の身体に乗ってくる。ふくよかな乳が揺れた。
「嫁さんになってほしい」
「本当なの? 舞い上がっちゃいそう! 嬉しい・・・」
学歴も収入もないが、彼女が俺の理想的な女性なのだということがわかった。出会い系には、システムで理想的なマッチングを実現するような高度な機能はなく、あくまで男と女が裸でぶつかり合う場なのだ。だからこそ本当にふさわしい相手が見つかりやすい。
―世の中にはこんな女性がいるのか―
―俺の好きな女性は、じつはこういうタイプだったのかもな―
新しい発見もある。
出会い系は名実ともに「男と女の出会いの場」なのだ。